翻訳

11章

次の小惑星にはキザ男がいました。 11章 ふたつめの惑星には、キザおとこが住んでいました。 「ああ! ああ! おれの崇拝者が、またやってきた!」ちいさな王子さまを、とおーくから見かけたとたん、キザおとこはさけびました。 キザおとこにとって、ほか…

10章

近くの小惑星には、王さまがいました。 10章 近くには、小惑星325番、326番、327番、328番、329番、それから330番がありました。それらを訪ねてまわって、見たり学んだりしようというのでした。 一番めには、王さまがいました。王さまは、むらさき色のテン…

9章

王子さまは花と別れて自分の惑星を出ていきます。 9章 ぬけだすときにはきっと、鳥の渡りが役に立ったにちがいありません。旅に出るその朝、その最後まで、王子さまはじぶんの惑星をきちんとしていました。カンカンになっている火の山は、ゴシゴシきれいに…

8章

王子さまは、花との暮らしがうまくこなせなかったようでした。 8章 その花のことは、わりとすぐにわかりました。ちいさな王子さまの惑星にはいつも、花びらが、ひとえだけの、とてもスッキリとした花ならあって、場所もとらず、人目を引くこともありません…

7章

王子さまには、とても大事にしている花があるのでした。 7章 五日めに、またまたヒツジのおかげで、このちいさな王子さまの暮らしの秘密がわかることになりました。だしぬけに、ぽつりと尋ねてくるのです。だまってながいこと、頭をなやませたあげくに。 「…

6章

王子さまは自分の星で、日没をくりかえしくりかえし眺めたことがあったそうです。 6章 ああ、ちいさな王子さま、わかってきたよ、すこしずつだけど。そうか、胸のふさがるような、毎日だったんだね。太陽が沈むときの、引き裂かれるように甘いひとときを、…

5章

惑星を破壊するバオバブのおそろしさを知っていますか? 5章 毎日、なにかしらその惑星のことや、そこからの旅立ちのことや、旅まわりのことがわかってきました。どれもゆっくりと、ひょんなことからそれとわかるのです。そんなふうにして、バオバブのぞっ…

4章

王子さまの惑星は、とてもちいさいのでした。 4章 ふたつめに大事なことがわかってきました。その子がはじめにいた惑星は、家くらいのおおきさもなかったのですよ。 そんなには、びっくりしませんでした。地球や、もくせいや、かせいや、きんせいのような、…

3章

王子さまの謎が、すこし、明かされます。 3章 どこから来たのか、教えてもらうまでには、ずいぶんかかりました。ちいさな王子さまは、じぶんからは、やまほどたずねるのに、じぶんがたずねられたときには、きこうともしないからです。そういうことはぜんぶ…

2章

王子さまとは、砂漠のまんなかで出会いました。 2章 そんなわけで、ひとりでの暮らしをつづけて、ほんとうのことが話せる相手もないままに、サハラ砂漠のまんなかに不時着するまで、ずっとそうでした。あれは6年前のことです。エンジンのどこかがこわれた…

1章

6才のころ、絵をあきらめました。 1章 6才のときでした。おおきな絵を見たことをおぼえています。自然のままの森についての、『ほんとうにあったおはなし』という名前の本に、のっていたのです。その絵にあったのは、オオヘビが、おおきくて強そうな動物を…

レオン・ウェルトに

「星の王子さま」の翻訳著作権が切れて、たくさんいろんな翻訳が出版されたのだそうです。*1ちょっと期待して、いくつも読んでみたのですが、やっぱりひとつ自分でも訳してみたくなりました。 最初は献辞です。 レオン・ウェルトに こどものみなさんには、ご…

Isaac Asimovの詩

In memory yet green, in joy still felt, The scenes of life rise sharply into view. We triumph; Life's disasters are undealt, And while all else is old, the world is new. なお青き思い出、まだ熱き喜び、 景々鮮やかに観ず。 我らが得たるは、災…

シェークスピア「ハムレット」独白

To be, or not to be, that is the question. 子供の頃、母から「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。」という訳を教えてもらいました。(これは河合祥一郎という人も使った、昔から有名な訳例だったようです。*1 ) 私は、このくらいが適当じゃないか…

ブラウニング「ラビ・ベン・エズラ」より

ロバート・ブラウニングの "Rabbi Ben Ezra" の冒頭です。 Grow old along with me ! The best is yet to be, The last of life, for which the first was made : Our times are in His hand Who saith "A whole I planned, "Youth shows but half ; trust G…

「ナポリを見て死ね」

なぐはしき京見て死ねとあかねさす天使突抜春のあけぼの 塚本邦雄 こういう短歌があるそうな。 http://homepage2.nifty.com/cygyk/tanka/kansyo_tanka2008.htm#akanesasu1 この短歌の意味は、たぶん「名高い京都を見るまでは死ぬなと言わんばかりに美しい、…

シェークスピアのソネット18番

演劇のコーナーにシェークスピアの棚があって、一冊開いてみたらこのソネットが目についた。 韻を踏んで訳せていなかったように思い、ちょっと残念だったので、試しに訳してみた。 小曲十八番 君喩えるなら夏の日か いやなお可憐なお優美 嵐が揺する皐月の花…

ポール・グレアム「書くこと(短く)」Writing, Briefly (PAUL GRAHAM)

たまたまポール・グレアムさんのエッセイのページ http://www.paulgraham.com/writing44.html に たどりついたら、短いものは67分で書いたとありました。 id:doyu さんによるその日本語訳が http://d.hatena.ne.jp/doyu/20050523 にあります。 (id:doyu さ…