レオン・ウェルトに

 「星の王子さま」の翻訳著作権が切れて、たくさんいろんな翻訳が出版されたのだそうです。*1ちょっと期待して、いくつも読んでみたのですが、やっぱりひとつ自分でも訳してみたくなりました。

 最初は献辞です。

レオン・ウェルトに

Léon Werth


 こどものみなさんには、ごめんなさいをいいましょう。この本をわたしは、もうおおきくなっている、あるひとに、ささげることにしました。それには、深いわけがあります。このおおきなともだちは、わたしにとって、世のなかで、いちばん大事なともだちだからです。ほかにも、わけがあります。このおおきなともだちは、どんなことにも通じていて、こどもむけの本でもわかってくれるからです。みっつめのわけもあります。このおおきなともだちは、フランスで、おなかをすかせて、寒いおもいをしているからです。なんとか、きもちをやすめてほしいのです。これでもたりないようなら、こういいましょう。この本をささげるのも、こどもになのですと。むかしちいさかったころの、このおおきなともだちにささげましょう。おとなもみんな、はじめはこどもだったのです。(それをわすれずにいるおとなは、めったにいませんけれども。)だからこの本をささげることばは、こうなおします:

レオン・ウェルトの

まだちいさかったころに

Boy(circa 1884) by Renoir

《参考》
フランス語原文 http://www3.sympatico.ca/gaston.ringuelet/lepetitprince/chapitre01.html
英語訳の一例 http://www.angelfire.com/hi/littleprince/introduction.html
※写真は各所から参照させてもらっています。
(レオン・ウェルトの肖像)http://2.bp.blogspot.com/-n0DTLtOj_IU/TjP7s7j9EoI/AAAAAAAAA8M/lacUkyWqQws/s400/lw.jpg
(『少年』ルノワール[1884頃])http://t3.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcTjqNKSaCrEwI8K2gQS6he0EI0VH_iRS6pOBvUCB1FnvO9QfPGHrA

*1:Wikipediaの記述によれば岩波書店が持っていた日本における翻訳出版権は2005年1月に切れたそうです。Le Petit Prince の著作権にも著作権についての説明があります。