「春の朝」改訳
ロバート・ブラウニングの劇詩『ピパ、過ぎゆく』(1841年)221行以下の日本語訳です。
上田敏により「春の朝(あした)」として翻訳され、『海潮音』に収録された訳が有名ですが、元の詩では脚韻が踏んであるのに訳ではそれが失われています。
そこで、脚韻を揃えて、ついでに音数も揃えて訳しなおしてみました。
The year's at the spring,
And day's at the morn;
Morning's at seven;
The hill-side's dew-pearl'd;
The lark's on the wing;
The snail's on the thorn;
God's in His heaven--
All's right with the world!
年ならば春,
日ならば夜明け;
朝なら七時;
丘に朝露;
雲雀さえずる;
蝸牛行け;
神は下らじ--
世は善しと見ゆ!
上田敏の有名な訳は、次のとおりです。
時は春、/日は朝、
朝は七時、片岡に露みちて、
揚雲雀なのりいで、/蝸牛枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。/なべて世は事も無し。