23章

 王子さまは物売りにも会いました。

23章

 
「こんにちは」と、ちいさな王子さまがいいました。
 
「こんにちは」と、物売りがいいました。
 
 のどの渇きをスッカリ鎮めるという、粒ぐすりの物売りでした。ひと粒飲めば、一週間、なにも飲みたくなくなるというものです。

 
「どうしてそれ、売ってるの?」と、ちいさな王子さまがいいました。
 
「そりゃあ、時間がずいぶんと、浮くからだよ」と、物売りがいいました。「くわしいひとが計算したんだがね。週に、53分も節約できるんだよ」
 
「それで、53分を好きに使えるの?」
 
「好きなことに好きなように、使えるよぉ…」
 
「ぼくだったら」と、ちいさな王子さまはつぶやきました。「もし53分、好きに使ってよかったら、水飲み場のほうまで、ずうっと歩いていくけどなぁ…」

《参考》
フランス語原文 http://www3.sympatico.ca/gaston.ringuelet/lepetitprince/chapitre23.html
英語訳の一例 http://www.angelfire.com/hi/littleprince/framechapter23.html
※イラストは、青空文庫「あのときの王子くん」の画像を参照させてもらっています。
※写真は、各所から参照させてもらっています。
(丸薬にみえる練香)http://www.a-yarn.com/photos/uncategorized/2008/12/05/lovehappybeauty_2.jpg
(水)http://t3.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcSEOeFT_YQIYeTFZ7pt5ovOoVDEGP7mvJ4YQAXrz3PkxhRZNG3s