八月の鯨
- 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- 発売日: 2012/06/08
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ダイ・ハード4.0
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2008/10/16
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人がどんどん殺されていく。物が、クルマが、建物が、トンネルが、高速道路が、ジェット戦闘機が、社会システムが、どんどん壊されていく。あまりのことに、だんだん心のうずきすら麻痺していく。その渦中にあって、主人公とその相棒となったプログラムオタクは怪我しかしない。さすがは虚構。
時代が肉体派のヒーローから情報系ヒーローへと移りかわることをシニカルに象徴するようなラストシーンが印象的。
大統領のビデオをつなぎあわせて作った犯行声明をテレビの全チャンネルで流すというシーンには感心。「ニクソンがなかったけどな」という犯人グループのツッコミもなかなか。
主人公の娘のキャラクター/台詞は漫画的な意味でありきたりではあるのだけど、でも実にチャーミングだ。
座頭市
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2004/03/11
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ふつうの時代劇との違いは刃の描写の危険さと、BGMの現代性です。
往年の時代劇だと、刀で人を斬っても、めったに血が出ることがない。通常の殺陣は、ダンスのような様式美で描かれることが多いものだと思います。でもこの映画では、びしゅっと緋色の血が出たり、腕が飛んだりするのです。
大げさなシーンだけでなく、やくざものが刀を抜くときに誤ってとなりの仲間を傷つけたり、座頭市が振るう仕込み杖の刀が、刀の柄を握る相手の親指まで切り落としてしまったりと、こまかな描写が尋常でなくスプラッタ。なかには仕込み杖で石灯籠がまっぷたつ、なんていう様式的な虚構もありますが、総じて刀をふりまわすのはあぶないなぁと思える描写でした。
BGMは古典邦楽に縛られない選曲というだけでなく、劇中の背景に溶け込んでいる状景のなかの登場人物たちの動作が、畑で鍬をもって耕す土の音や、雨が水たまりを叩く音や、家を立てる大工さんたちの鎚や鋸や鉋の音が音楽の要素音として取り入れられています。とても様式的ですが、これがラストの祭りのシーンではおおぜいでのタップダンス(下駄履きタップ)で最高潮に達します。
R指定で中学生以下が観るのは禁止と書いてありましたが、スタイリッシュな映画です。
TIME/タイム
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2013/02/06
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ネット上を検索すると、この映画には賛否あるようだが、個人的には感心した。
通貨が余命すなわち時間ということになっている近未来。誰もが生まれたときから左腕に埋め込まれている余命メーターは、25歳をすぎると機能しはじめる。だれもが25歳の外見のまま生活できるようになるかわりに、その余命を財布のかわりにつかって生活しなくてはならないようになる。働けば余命をもらい、消費には余命を払う。しかもその時間は腕を重ねることで、もらったり与えたりすることができる。裕福な者は使い切れないほどの余命を持ち、貧しい者はその日一日をなんとかしのぐだけの余命しか持てない。
富裕層がみな若い外観を維持し続けられるようになるのはわかりやすい。だが貧困層までが若い外観を維持できるという設定は疑問だ。むしろ貧困層は実際の年齢以上に老け込むようにしてあったほうが納得しやすかったのではないかと思う。
主人公のスラム育ちの青年は偶然みかけた自殺志願の富裕層の男を助け、その100年以上もの余命を譲られる。しかしその直後に間一髪で母親が余命切れで無くなる。復讐を誓った青年は富裕層の居住エリアに乗り込み、カジノでポーカーにより余命を増やし、知り合った富裕層のお嬢さんと知り合う。巻き込まれたお嬢さんは青年にのめりこみ、ふたりして父の経営する時間ローン会社に対して時間強盗を働き、スラムのみんなに分け与える。
主人公の行動が恋人同士での銀行強盗の域を超えないところは、ほとんど「俺たちに明日はない」のボニーとクライド。最後は「俺たちに明日はない」みたいに射ち殺されるのかとも思ったが、そうではなく、連邦準備銀行のような白亜の建物に向かって拳銃を構えて強盗に入ろうとするシーンで終わる。観客サービスなのかとも思うが、ストーリーがSF映画らしいスケール感に欠ける尻すぼみなものになってしまった感じはあった。
拳銃だけで何度も強盗が成功してしまったりというのはまじめに考えると絵空事でしかない。SF的設定ではあっても、いわゆるSF的なストーリーでもない。どちらかといえばおとぎ話というか寓話といったほうがよさそうな内容だ。それでも、あからさまに反体制的な風刺とも思える内容がハリウッド映画で実現されていることは意外で、おもしろく思った。SF映画というよりは、近未来コメディというところだろうか。
メモリを増やした。うれしい。
このところ、メモリ1GBでは耐えがたくなってきたので、MacBookのメモリを4GBに増やした。
たしかに、早くなった。
目でみてわかることとしては、アクティビティモニタのシステムメモリの円グラフの表示が変わった。
いままでなら空きを示す緑の扇形は針のように細かったのに、いまは4分の3までが緑色になっている。
ああ、これでやっと毎日の忍耐から解放される。
うれしい。
「春の朝」改訳
ロバート・ブラウニングの劇詩『ピパ、過ぎゆく』(1841年)221行以下の日本語訳です。
上田敏により「春の朝(あした)」として翻訳され、『海潮音』に収録された訳が有名ですが、元の詩では脚韻が踏んであるのに訳ではそれが失われています。
そこで、脚韻を揃えて、ついでに音数も揃えて訳しなおしてみました。
The year's at the spring,
And day's at the morn;
Morning's at seven;
The hill-side's dew-pearl'd;
The lark's on the wing;
The snail's on the thorn;
God's in His heaven--
All's right with the world!
年ならば春,
日ならば夜明け;
朝なら七時;
丘に朝露;
雲雀さえずる;
蝸牛行け;
神は下らじ--
世は善しと見ゆ!
上田敏の有名な訳は、次のとおりです。
時は春、/日は朝、
朝は七時、片岡に露みちて、
揚雲雀なのりいで、/蝸牛枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。/なべて世は事も無し。