18章

 砂漠の花と、すこしだけ言葉をかわしました。

18章

 
 ちいさな王子さまは、砂漠を横切って、一輪の花に出会いました。花には、3枚の花びらがありましたが、ほかはなんにもないのでした…。

 
「こんにちは」と、ちいさな王子さまがいいました。
 
「こんにちは」と、その花がいいました。
 
「ひとはどこにいますか?」と、ちいさな王子さまは、お行儀よく尋ねました。
 
 その花は、いつだったか、キャラバンがとおるのを見たことがありました。

 
「ひと? すこしはいるはず。そう、6人か7人。何年か前、あっちにいるのを見たけど。どこで見つかるかは、さあてねえ。風があると、フラフラして。根無し草なの。はずかしいったら。」
 
「じゃあこれで」と、ちいさな王子さまがいいました。
 
「じゃあこれで」と、花がいいました。

《参考》
フランス語原文 http://www3.sympatico.ca/gaston.ringuelet/lepetitprince/chapitre18.html
英語訳の一例 http://www.angelfire.com/hi/littleprince/chapter18.html
※イラストは、青空文庫「あのときの王子くん」の画像を参照させてもらっています。
※[写真]砂漠に咲くマリポーサの朱色の花は、こちらの写真を参照させてもらっています。 http://snowbirdpix.com/sonoran_desert_plant_page.php?id=1067
※[写真]サハラ砂漠のキャラバンは、こちらの写真を参照させてもらっています。 http://www.britannica.com/EBchecked/media/112204/Camel-caravan-in-the-Sahara-Morocco