アシモフがグールド好きなのは知っていたけれど

 スティーブ・ピンカー「人間の本性を考える(上)」を読んだ。*1

人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)

人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)

 この本は(上)(中)(下)と三巻に分かれていてまだ上巻を読んだところだ。やや話が広がりすぎな感じもあるが、なかなかおもしろい。
 アシモフがグールド好きなのは知っていたが、この本によれば「ある本の推薦文にアイザック・アシモフが『グールドはけっしてまちがわない』と、おそらく皮肉ではなく書いているが、これは多くのジャーナリストや社会科学者の態度そのものである。」と(おそらく皮肉に)書いてあるのが目を引いた。
 スティーブン・J・グールドは、社会生物学を社会的ダーウィニズムと同列に批判していたことがあったそうで、ピンカーはそれを批判的に取り上げているのである。ピンカーの主張としては、人間であってもその行動の基盤に進化による淘汰を受けて培われた生物学的な要素がないはずはない。それは自由意志とか道徳心についてもやはり一定の影響があるはずだ。自然環境や人為的な環境を含む経験が重要でないことはないにしても、それだけで説明できるはずもない。とこういうのである。

*1:日本語副題の「空白の石版」はタビュラ・ラサのことのはずだから「石盤」か「石板」の間違いですね。