不確定性原理

「実験誤差じゃない。どこまでも厳密には測定できない。それがこの宇宙の事実なんだ。」
 量子力学における不確定性原理の存在を知ったのは、早川文庫にあったアシモフの科学解説書だった。
 「不確定性原理がなければ水素原子でさえ存在できないのだ」という言い方*1には、戦慄を覚えたものだ。
 不確定性原理とは「位置と運動量(のように共役な物理量の組)は同時に両方とも測定する精度には物理的な限界値(プランク定数)がある。」というものだが、ブルーバックスにあった都筑卓司のその名も「不確定性原理」という解説書を読んだときにも「そういうふうにこの宇宙はできているとしか言えない」という文に背筋が悪寒が走り、からだがびくっと反応したのを覚えている。*2
 時間とエネルギーにも交換関係(一方を正確に測れば他方が不正確にしか測れなくなる)があって、そのおかげで短い時間だけなら大きな質量を持った素粒子が存在してもかまわないし実際存在している証拠がある、ということにも驚異を覚えた。
 バレなきゃ何をしてもいいのか?
 世界に裏切られたような感覚。
 BGMは、中島みゆきの「しあわせ芝居」。

*1:不確定性原理によって電子の位置が雲のように広がっていると考えず、粒子が原子核のまわりを公転していると考えると、その加速度運動のために電磁波を放射して一瞬にして電子はエネルギーを失って原子核に墜落してしまうことになる、というのがその理由だ。

*2:そんなふうに反応する自分のからだにも驚いた。