金曜日の夜に観たDVD「ピノッキオ」

 イタリア語の映画。製作者も監督も出演者もイタリア人でロケ地もイタリアではあってもハリウッド映画だそうだ。
 前にNHK教育テレビの「イタリア語講座」で教材に使われていた作品。

 ロベルト・ベニーニ監督兼主演(ピノッキオ役)。子供の人形ピノッキオにしては歳をとりすぎている。ぜったい子供には見えない。オッサンだ。親友の子供(ルシーニョロ)役の俳優キム・ロッシ・スチュアートも、あきらかに子供とはいえない青年。これがほんとうの子供だったりしたら、主演のピノッキオとの対比が激しすぎただろう。しかしそんな大の大人がペロペロキャンデーを舌を出して舐めるシーンは、少々不気味だ。シュールといってもいいかもしれない。そのあたりが映画というよりも「芝居」という感じ。現実にはありえないような濃い化粧で舞台に立つ役者を観るような感覚だ。ただ、たしかにいい芝居ではある。
 プロデューサー兼出演(青い妖精役)のニコレッタ・ブラスキもかなり薹の立った感じではあった。とはいえ、こちらはとくに年齢はどうでもいい役なので、それほどの違和感はなかったかな。

 映像的にはかなりよい。景色は美しい。シナリオもかなり原作に忠実なようだ。映画としては上出来な部類だろう。これでほんとうにかわいくて演技の達者な子役がどうしようもない嘘つきだが善意の悪たれを演じていればいうことなしなのにと、個人的にはそこだけがやはり惜しい。