P.S.アイラブユ―

 ラブラブなカップルにある日とつぜん夫の死が訪れて…。というよくありそうなストーリー。
 夫が脳腫瘍で死に、残された妻は亡き夫を忘れられず、日々の生活も自暴自棄になり引きこもり状態になる。夫は死ぬ前に幾通もの手紙を用意して、一年後の妻の30歳の誕生日から、一通ずつ順に届くように手配する。という、これまたよくありそうな展開。
 ラストは、特定の新しい恋人が決まるというよくあるハッピーエンドからは少し距離を置いていて、そこはちょっとよかったかな。
 こういうストーリーだと、だいたい、妻の自立を促し、夫は妻に新しい恋をするように促すのだろうなと予想する。
 残念なのは、死んだ夫の考えのとおりにあまりにうまく話が進みすぎることだ。
 どうせなら、途中から夫の思惑がはずれて手紙の内容が現実に次第にそぐわなくなっていくような展開にしたほうがおもしろいのではないか。それによって夫はもはや死んで現実の世界にはいなくなってしまっているのだと納得し、大切な過去として気持ちに整理がつく…というように。