直立したから手が使え、手が使えるから脳が発達した…はウソか?

 カンガルーやティラノサウルスだって二本足で歩いたり跳ねたりしていて手は自由になっているじゃないか。というのが池谷裕二さんの意見(「脳はなにかと言い訳する 人は幸せになるようにできていた!?」)。

 

 たしかに。

 

 たしかにペンギンやダチョウなら二本足ではあっても自由に使える手はないが、カンガルーなら実際手を使って食べたりはしていますね。

 

 でもちょっと待って。

 

 カンガルーやティラノサウルスは二本足で、かつ手が使えはします。しますが、どっちも体は垂直というよりは水平です。長くて太い尻尾があって、頭部とバランスを取りながら、背骨はほぼ水平にしています。ヤジロベエの両腕に付いている錘のように。そこが違います。 

 

 だから、カンガルーもティラノサウルスも、あまり大きくて重い頭を持つようには進化できなかったんじゃないでしょうかね。ヤジロベエの先についてる錘(おもり)は、バランスを取らないと倒れてしまうわけですから。

 

 そうして、背骨を垂直にして立つことを日常化した人間は、さらに脳を重く複雑に発達させていくことができた…のでしょう。脳の発達のために腰痛のリスクを取った。のかもしれません。

脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫)

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