ココア

ココアを飲んでいます。カップを口に近づけるとチョコレート風の匂いが現れます。唇をカップの端に添えてそっとすすると、かすかに粉っぽいような苦みを含んだ、あたたかい飲み物が、舌の先をつんと突つきながら、奥へとそっと打ち寄せます。おいしい匂いが口の中からも鼻の先からも殺到します。ミルクのまるみと糖分の甘みがカリスマ宗教家のように妖しく五感を喜ばせます。小さなカップにいっぱいの幸せが私を包み込みます。