白バラの祈り -ゾフィー・ショル、最期の日々-

白バラの祈り -ゾフィー・ショル、最期の日々- [DVD]

白バラの祈り -ゾフィー・ショル、最期の日々- [DVD]

 人はなぜ、震えながらもそうやって前に進めるのか。

 第二次世界大戦末のドイツ。ナチスが敗北を重ねていた頃のミュンヘン。ドイツの滅亡を憂う大学生たちが反ナチスの言論活動に手を染め、ビラを配って捕まり、執拗な取り調べと一方的な裁判を受けて死刑となり、そして処刑される。ほとんど救いのない映画です。悲壮な覚悟を決めながらも不安と恐怖に怯え、震えながらも立派に証言して意志を貫く若者たちの姿が印象的です。主人公のゾフィーを取り調べながらナチスへの疑問を抱き、それでもナチスへの忠誠を破れない取調官。自らの保身のために主人公たちに狂気じみた審理を強行する判事。なにも言わない国選弁護人たち。ナチス治下のドイツの狂気が迫ってきます。処刑方法は、小ぶりなギロチン。首切りです。ギロチンの刃が落ちるシーンで画面は暗転します。のちに連合国軍は彼らのビラを大量にコピーして上空から撒いたというナレーションで映画は終わります。彼らの抵抗は無駄ではなかったと言いたいのでしょうが、彼ら自身には救いはなかった。やるせない無情を感じるとともに、後悔はしないが怖くてならない、という弱さをほとばしらせた俳優たちの演技に感じ入りました。