青髭

青髭 [DVD]

青髭 [DVD]

フランス映画。フランス語の映画。ペローの青髭を読む20世紀(たぶん)の幼い姉妹のシーンと、青髭の物語のシーンが交互に映し出される。妹は美しく実際的で、いわば怜悧。姉は平凡で、いわば愚昧。怖がって嫌がる姉に妹は青髭を読んで聞かせる。青髭の物語の中でも、姉妹のうち妹が、青髭を恐れず、みずから青髭の花嫁となることを選ぶ。青髭は髭の青いことから化け物扱いされているということになっているが、あまり化け物じみては見えない。(最近は青や緑や紫に髪を染めたりメッシュにしたりする人も普通に見かけるのでなんとも思わないのかもしれない。)青髭役の俳優は顔は端正なのに、からだは役作りのせいか、かなりの肥満体型。青髭は妻に鍵を渡して館を留守にし、その際にひとつの鍵だけは使うことを禁じる。妻はそれを使ってドアを開け、吊るされた青髭のかつての妻たちを見つける。はっとして鍵を落とし、鍵は血にまみれる。吊るされた女たちの造形は、けっこうよくできていて、グロい。妻は黙っているが、鍵を返すように言われ、返すと「なぜ血がついているのか」と訊かれ、ばれる。「そんなに入りたければ、一緒に吊るしてやろう」と言われ、館の党の上で殺されそうになる。しかし駆けつけた友人に助けられ青髭は殺される。殺された青髭の首が大皿の上に載せられ、青髭の妻だった娘がその首に手をかけて微笑むシーンはサロメのようだ。物語を読んでいた妹は、読みながら怖がる姉を追いつめ、あとじさりする姉が階下に落ちるに任せる。驚きもしない妹が怖い。