「カラマーゾフの兄弟」(あるいは「唐松家の兄弟」)

 長い小説でした。しかも文字がかなりぎっちり詰まっている。十五日がかりで読み終えました。
 ロシア人の名前は長いうえにいろいろな呼び替えがあって、なかなか煩雑ですね。
 わかりやすさのために、明治時代の翻訳小説風に、和風の見立てであらすじを紹介すると、こんな感じです。

あらすじ「唐松家の兄弟」

 裸一貫から身を起こし名字帯刀を許された両替商、唐松屋太夫(からまつや・ひょうだゆう)には三人の息子がいた。長男は富太郎(とみたろう)。二男は岩二郎(いわじろう)。三男は両三郎(りょうさぶろう)。富太郎(愛称:トミちゃん)は兵太夫の前妻の子で、幼児から父親から顧みられずに育った放蕩息子。岩二郎(愛称:岩さん)は世をすねた蘭学者。両三郎(愛称:両ちゃん)は誰からも愛される護国寺の小僧。富太郎には許嫁の旗本娘、勝姫(かつひめ)がいたが、好色な兵太夫と長男富太郎がふたりして花魁の黒瀬の方(くろせのかた)に惚れてしまったから騒動が絶えない。父からの仕送りが途絶え、生活にも窮した富太郎は、黒瀬の方との道行きを夢見て金の工面に走り回り、父の屋敷に黒瀬の方が呼ばれて来ていないか見に行く。黒瀬の方はいなかったので父の屋敷から出ようとすると、番頭の暮五郎(くれごろう)に見つかり、富太郎はとっさに暮五郎を殴り倒して逃走してしまう。翌日、兵太夫の撲殺死体が発見され、富太郎が疑いを掛けられる。岩二郎は、暮五郎に育てられ兵太夫の隠し子という噂もあった料理番の墨浦蛇笏(すみうらだこつ)から兵太夫殺害の自白を聞く。岩次郎は白州で証言するが、蛇笏は裁きの前夜に自殺してしまい、裏付けの証言は得られない。両三郎は敬愛する僧侶蔵島(ぞうしま)が死ぬと寺を出て還俗し、兄の無実を信じて勝姫と黒瀬の方に会い、自らも証言するが、勝姫の嫉妬から出た証言により、ついに富太郎は流罪と決まる。両三郎は、富太郎が喧嘩で恥をかかせた岡っ引きの子がいじめにあっていたのをきっかけに、偶然知り合った子供たちとの絆を確かめて、これからの生涯を生きていくことを誓う。