アンデルセン 夢と冒険の物語

アンデルセンは貧しい靴職人の子として生まれたが親の仕事を継ぐのは嫌で、空想の物語を作る才能と女性に好かれる才能には恵まれていた。父が死ぬと叔母を頼ってコペンハーゲンに出るが、まもなく母も死んで仕送りもなくなる。しかし偶然知り合った裕福だが脚の不自由な娘イエッタに気に入られてその家に家族として迎えられ、劇場に連れていってもらうと歌姫に熱を上げる。イエッタの父親に宮廷にも案内され、王女からも気に入られる。物語作家として成功するが、歌姫に熱を上げつづけ、そのヨーロッパ巡業を追いかけて旅をする。イエッタは失意の末にひとりアメリカに渡航しようとする。歌姫が伴奏者との結婚を発表。失恋したアンデルセンにイエッタが船の火災で死んだという知らせが届く。アンデルセンの人物造形が、かなりおおげさに、才能はあるが世間知らずのお調子者という感じに描かれていて、「アマデウス」のモーツァルトのようだった。サリエリのいない「アマデウス」。アンデルセン作の数多くの童話が物語の進行中に二重写しのように挿入される。それらを演じるのはアンデルセンとその周りの人物たち(を演じている俳優たち)。アンデルセンの物語を組み合わせてアンデルセンその人の生涯を追いかけるというコンセプトはおもしろいが、十分にはおもしろくしきれていないような気がする。イギリスのチャールズ・ディケンズアンデルセンが少し絡むシーンがあり、同時代人だったんだなと思ったのは収穫だった。