"Isaac Asimov's Treasure of Humor"から *14

Treasury of Humor

Treasury of Humor

 いま"Isaac Asimov's Treasury of Humor"を読んでいます。笑いながら読むにはまだまだ英語力が不足していることを痛感させられます。

* 14
The young couple was engaged in a most affectionate embrace when there came the sound of a key in the front door.
The young lady broke away at once, eyes wide with alarm.
"Heavens," she cried, "it's my husband! Quick, jump out the window."
The young man equally alarmed, made a quick step toward the window, then demurred. "I can't," he said, "we're on the thirteenth floor."
"For heaven's sake," cried the young lady in exasperation, "is this a time to be superstitious?"

 このジョークをさいしょ読んだときは、はっきり意味がつかめなくて、どこがどうおもしろいのかわかりませんでした。じっくり読めばわかったので、おもしろさを感じることは、まあ、できました。でも、即座にわかって笑えるのがジョークのおもしろさでしょう。ちょっとくやしい。外国語で書かれたジョークを楽しむのは、むずかしいですね。

 試しに訳してみました。

* 14
 若いカップルが激しく情熱的な抱擁をかわしていたとき、玄関からドアの鍵をあける音がした。
女性のほうは、さっと離れると大きく目を開いて警戒した。
「なんてこと」と、彼女は叫んだ。「夫だわ! さっさと窓から出てって。」
 同じように危機を感じた男は窓に駆け寄ったが、かぶりを振った。「できないよ」と彼は言った。「ここは13階だ。」「なに言ってるの」女はいらだって叫んだ。「そんな迷信言ってる場合?」

 これ、男は「13階は高すぎて飛び降りたら死んでしまうから窓から出て行くことはできない」という意味で「ここは13階だ」と言ったのに、女は「13は不吉な数字だから13階からは飛び降りたくない」という意味に解釈しているのがおかしいわけですね。

 このジョークのおもしろさを評価するのは、実際にはかなり高度な情報処理が必要だと思います。

 それには、(1) 高い階の窓から出て行くと墜落して死んでしまうことと、(2) 13がどれほど忌み嫌われているか、(3) 13を忌避することよりも死ぬことを避けるほうが遥かに重大だということを認識して、その落差をおもしろさとして評価する必要があります。

 さらにその背景として、(4) 夫を持つ女性が別の男性と情熱的な抱擁を交わすのは女と夫の結婚に対する重大な違背であること、(5) 男が見つかれば夫は女の結婚生活を危機にさらすだろうこと、(6) 男が見つからなければカップルとくに女の危機は回避されるだろうことも了解しておく必要があります。

 たぶん、コンピュータにこれを評価させるのはむずかしいでしょう。

 私にもむずかしかった。