起承転結

 おおくの場合、ストーリーは起承転結で構成されているという。
 そういえばそうかもしれない。
 たとえば:

かぐや姫

 (起)輝く竹から生まれたかぐや姫は、(承)何人もの貴族からの求婚を退け、(転)帝の求婚も拒むと、(結)月に帰る。

桃太郎

 (起)桃から生まれた桃太郎は、(承)イヌ・サル・キジをお供に連れて、(転)鬼ヶ島に鬼退治に出かけると、(結)財宝を持ち帰る。

浦島太郎

 (起)亀を助けた浦島太郎は、(承)竜宮城でもてなされ、(転)700年の経過に絶望して土産の玉手箱を開けると、(結)一気に年を取る。

赤ずきん

 (起)赤い頭巾がお気に入りの赤ずきんは、(承)おばあさんの家へのお使いの途中でオオカミにねらわれ、(転)おばあさんの家でオオカミに食べられてしまうが、(結)猟師に助けられる。

マッチ売りの少女

 (起)寒い日にマッチを売る貧しい少女は、(承)マッチが売れないので途方にくれ、(転)売れ残りのマッチを擦って暖をとると幸せな幻覚を見るが、(結)翌朝には冷たくなっている。

ピノキオ

 (起)木の人形ピノキオは、(承)遊びほうけて騙され続けるが、(転)後悔して魔法使いに謝ると、(結)人間の子供になる。

ハムレット

 (起)父の亡霊に導かれて現王を疑う王子ハムレットは、(承)狂気を装って許嫁のオフィーリアを自殺に追いやり、(転)その兄との決闘で傷つきながら王である継父を殺すと、(結)力つきて死ぬ。

ロミオとジュリエット

 (起)敵対する家のロミオと恋に落ちたジュリエットは、(承)追放されたロミオを呼び戻すために仮死状態になり、(転)誤解して服毒自殺したロミオを見ると、(結)自殺する。

リア王

 (起)3人の娘に財産を譲ろうとしたリア王は、(承)最愛の末娘を誤解して勘当し、(転)上の娘たちからも相手にされなくなると、(結)狂い死ぬ。

オセロ

 (起)ムーア人のオセロは、(承)部下イアーゴーに騙され、(転)嫉妬から妻デズデモーナを殺すと、(結)真実を知って自殺する。

 こうしてみると、どのお話も、身も蓋もないなあ。

 おまけ。

人間

 (起)猿に似た哺乳類から生まれた人間は、(承)火遊びを覚え、(転)火薬や原子力にも手を伸ばすと、(結)我と我が世界を滅ぼせるようになった。

生命

 (起)炭素を中心とした原子からなる分子は、(承)自己複製するようになり、(転)環境にあわせてさまざまに進化して地球を覆うと、(結)はじけて外に漏れそうになった。

宇宙

 (起)無から生まれた宇宙は、(承)一気に拡大しながら星をつなぐ重力・物質を支える電磁力・原子核を支える強い力・原子核崩壊を起こす弱い力を生み出して、(転)ところどころに銀河系やその中の恒星系を作ると、(結)人間を作って宇宙について考えはじめた。