「感染列島」

感染列島 スタンダード・エディション [DVD]

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 この映画は感染症によるパニック映画。そういう意味では、小松左京の小説を映画化した「復活の日」と同じジャンルに属する。この映画で描かれる被害はほぼ日本だけであり、「復活の日」よりもスケールは小さい。しかし映画としてはよくできていると思う。
 ただ、ちょっと終わり近くに出てきた、伏線もなく唐突な回想シーンには違和感を覚えた。
 そこに「たとえ地球が明日終わるとも、君は今日、林檎の木を植える」という詩(?)が出てくる。
 「世界の終わりが明日来るとしても君たちは今日も種を播け」という歌詞を思い出した。これは「妹たちよ」という歌。たしか、むかしのTVアニメ「宇宙海賊キャプテンハーロック」の挿入歌だった。
〈ANIMEX1300 Song Collection シリーズ〉(7)宇宙海賊キャプテンハーロック

〈ANIMEX1300 Song Collection シリーズ〉(7)宇宙海賊キャプテンハーロック

それともうひとつ。「木を植えた人」という絵本があったなあとも思った。
木を植えた男

木を植えた男

木を植えた人

木を植えた人

 しかし、調べてみるとこの映画のオリジナルのフレーズではなく、もちろん私が思い出したどちらでもなく、別の筋からの引用であるようだった。*1
 ともあれ、その言葉はそれ単体で感動的な言葉ではある。いましようとしていることが完成する前に世界の終わりがくるとわかっても、いましようとしていることをあきらめずに手がける。それは「懸命に生きる」ということだ。自分のためでも人のためでもかまわない。ともかく「力を尽くす」ということだ。「未来に何かを残す」ということでもある。成功か失敗かも関係ない。成功には運も必要になる。ところが幸運は羨望の的ではあっても、尊敬の的ではない。「成功」ではなく、「実践」が尊敬に値するのだ。

*1:「それでも林檎の木を」http://www18.ocn.ne.jp/~ksch/column/sinnai0706.html