「スパルタカス」

 希望のある悲劇。感動的。
 共和制時代のローマ(「ローマン・エンパイア」の時代よりちょっと前)にあったスパルタクスの反乱(第3次奴隷戦争)を下敷きに、多少の改変を加えて作られたドラマ。
 採石場で働かされていた奴隷スパルタカスは、商人に剣闘士用に買われて訓練場に連れていかれる。訓練場でスパルタカスにはじめてあてがわれた女奴隷バリニアに、スパルタカスは「女ははじめてだ」といい、そっと触れるだけで手を出さない。それ以降、スパルタカスとバリニアは互いに意識しあうようになる。主人公のスパルタカス役のカーク・ダグラスはちょっと年を取りすぎの感じもあるものの、この初恋描写がなかなかいい*1。やがてスパルタカスらは訓練場で反乱を起こし、やがて敗れ、大勢が死に、残りの奴隷はスパルタカスを指差せば命は助けるといわれる。スパルタカスが立ち上がると他の奴隷たちも立ち上がり「俺がスパルタカスだ」という大合唱が起こる。結局奴隷たちは全員がアッピア街道沿いに磔にされ、スパルタカスもまたローマ市外に磔になる。バリニアとそのスパルタカスとの生まれたての子供は生き残り、クラッススの奴隷となるが、スパルタカス追討軍の将軍クラッススの政敵である元老院議員がクラッススへの死に際の抵抗としてバリニアを盗み出し、自由の証文を書き渡して、ローマから逃がす。バリニアは磔になったスパルタカスに子供を見せ、その足にくちづけて別れる。
 1960年の映画。ずいぶん昔の映画だ。
 そのせいなのかどうか、本編オープニングの前にOVERTURE(序曲)として、また途中でINTERMISSION(幕間)としてそれぞれ4分くらい、画面が真っ暗なまま音楽だけが流れるシーンがあって、不必要に感じた。4秒ならまだしも、4分は長すぎる。DVDに収録するときに必要なのか疑問。

*1:歴史上のスパルタクスは紀元前109年頃の生まれで剣闘士養成場からの脱走が紀元前73年なのでその当時36歳くらい。主演のカーク・ダグラスは1916年生まれで公開当時1960年には44歳だ。