宇宙の孤島

島はつねに人の心を魅惑する。
                レイチェル・カーソン*1

 深さの感覚すら麻痺して平坦な闇に見える暗黒の宇宙に、太陽の光を反射して強く輝く白い雲と青い海と。
 地球は、暗黒の宇宙に浮かぶ絶海の孤島である。
 それは私たちの目にまぶしくも美しく映る。
 地球だけではない。太陽系内に撒かれた惑星探査機は惑星やそのまわりをまわる衛星を写真に撮って地球にいる私たちに送ってきた。そこに映し出されていたのは、円い縁を持った惑星や、ときどきいびつな形をしているものもある衛星だ。それらは月のように灰色の表面を持つばかりのものもあるが、赤や茶色や青や緑などのさまざまな色を帯びたものもある。そうした色は、背景をなす宇宙の黒の上にあっては、素晴らしく映える。
 色は、生命を思わせる。よしんば今はそこに生命の痕跡すらなかったとしても、生きていくための余地がそこにはありそうに思わせる。
 たぶん、遠い未来に私たちの子孫がよその太陽系に出かけていったときにも、惑星は感動を呼び起こすのだろう。
 闇にとりまかれたかすかな輝きを彼らの瞳に灯しながら。

*1:「われらをめぐる海」p.125

われらをめぐる海 (ハヤカワ文庫 NF (5))

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