タイプライターの前を離れたら最期

 アシモフはやっぱり子供の頃に父の経営するキャンデーストアで働かされていた日々がすごく辛かったんだろうなと思わされる断章。

                                                1985年10月21日
エネルギッシュでいることからはほど遠く、私は世界一怠惰な男だ。私は
一切の仕事を座ったままでしている。私が始終書き続けている唯一の理由は
怖いからだ。もしタイプライターの前を離れたら、それがたとえ一瞬でも、
誰かが私に、なにか立ってするような、あるいは(もっとひどいのは)動き
まわってするような仕事をさせるんじゃないかと思うのだ。

"Yours, Isaac Asimov: A Lifetime of Letters"(p.237)

                                                21 October 1985
Far from being high-energy, I'm the laziest man in the world. I do
all my work sitting down. The only reason I keep writing all the
time that I am afraid that if I leave the typewriter even for an
instant, someone will put me to work doing something that re-
quires my standing or (worse yet) moving about.

 しかし若い頃もタイプライターを打っているあいだはキャンデーストアの仕事を免除してもらえたんだろうか?

 本人が聞いたら、おそらく慌てて否定するんじゃないかな、とも思う。
 もちろん、私の見当違いなのかもしれないわけだが。