子供には子供なりの、大人には大人なりの

 アシモフの先妻との間の娘ロビン(1955年生まれ)が子供の頃のエピソードとして、次のようなアシモフの記述が紹介されていた。思春期のロビンの洞察がなかなか鋭い。

                                           1968年9月5日
子供たちは今日から学校だ。ロビンがあらゆる種類の難事に大いにふり
まわされるので、私は彼女をなだめようと、問題がいかに小さなものか
言ってきかせた。彼女はがまんならないというふうに言った:
 「いいこと、お父さんだって小さかったころにはやっぱり小さい問題
があったでしょ。だけど大きくなったから問題も大きくなってるのよ。」
 これには打ちのめされた。私は彼女を抱きしめてそのとおりだと言っ
た。私はかくも鈍かったわけで、この教訓を私は将来に渡って思い出す
ことだろう。

"Yours, Isaac Asimov: A Lifetime of Letters"(p.213)

                                           5 September 1968
The  kids start school  today. Robyn  is very  perturbed about all
sorts of problems, and I tried to console her by pointing out  how
very minor  the  problems  were. She said impatiently:
  ``Look,  Daddy,   when  you're  a small  person,  you may  have
small problems. But the problems are still just as big as you are.''
  I was struck very forcefully by that.  I hugged her and said she
was right.  I had been quite  obtuse  and I  would  remember  this
lesson in the future.

 小さい問題についての解決法を学び、意識すらしなくなってくると、大きな問題が浮き上がってくる。解決が進化すれば問題も淘汰され、強大な問題に直面することになる。いたちごっこだ。解決と問題の共進化。自己相似形の構造。そして歴史は繰り返す。成長はフラクタルだ。