DVD「スタートレック」(Star Trek: The Motion Picture)

 きょうレンタルDVDで観ました。この映画はたしか公開時に映画館で観たんです。大きなスクリーンいっぱいに映し出される宇宙船エンタープライズ号が美しいと思った記憶があります。エンタープライズ号の映像はいまみてもなかなかきれいでした。
 ストーリーの細部は忘れているところもありましたが、スキンヘッドの若い女性士官が宇宙の彼方からやってきた「ヴィジャー」に消され、その使者として再登場してくることや、ヴィジャーというのは実は…というオチは、覚えていました。
 しかし、残念ながら映画は全体としてかなり退屈な感じを受けました。宇宙船の特撮の品のある美しさ以外には、興奮や感動はあまりありませんでした。

 この映画に期待していたことのひとつは、エンドクレジットにアシモフの名前が出ているかどうかでした。
 アシモフの自伝「I.Asimov A Memoir」の一節「117 ハリウッド」の一部には、次のように書かれているんです。(翻訳書はまだ刊行されていないので私が自分で翻訳した文章です。)

私は何度かの機会に「アドバイザー」を演じた。スタートレックで有名な
ジーン・ロッデンベリーが最初のスタートレック映画に絡んで私にいくつか
アドバイスを求めたのだ。私は喜んで手助けした。彼は私の友人だからだ。
私は金のことは言わなかったが、彼はいくらか送ってよこし、私が映画の
クレジットに並ぶよと言った。そうだ、私はいまだかつて映画のクレジット
に並んだことはなかった。そこで私はその映画を観に行った。終わりには、
みんながぞろぞろ出はじめて、いつ果てるとも知れないクレジットの連続が
スクリーンを巻き上がっていった。ジャネットと私はまんじりともせずに
映画館が空になっていくなかで待った。そしてついに、最後の項目だ、その
いちばん最後にあったのが「科学顧問 -- アイザック・アシモフ」。当然、
私は大きく喝采した。そこで私は通路からの声を聞いた。「アシモフだよ、
自分の名前に拍手してるのは。」こうしてまたひとつ、私の自己賞賛話が
生まれた。

 当該部分(抜粋)の原文はこうです。

I acted as "adviser" on several occasions. Gene Rod-
denberry, of Star Trek fame, asked me for some advice in
connection with the first Star Trek motion picture and I
was grad to help out, for he is a friend of mine. I didn't ask
for money, but he sent me some and told me I would be
listed in the credits. Well, I had never been listed in any
movie credits, so I went to see the movie. At the end, ev-
eryone started filing out, while an endless series of credits
rolled up the screen. Janet and I waited grimly while the
house emptied, and finally, the last item, the very last was
"Science Adviser -- Isaac Asimov." Naturally, I applauded
loudly, and I distinctly heard a voice in the aisle saying,
"There's Asimov, applauding his own name," and another
tale of my vanity was born.
-- 117 Hollywood in "I.ASIMOV A Memoir" by Isaac Asimov, Bantam books(1994), p.371-372)

 映画のエンドクレジットには、アシモフの自伝に書いてあったように、たしかにアシモフの名前が出ました。
 Special Science Consultant: Isaac Asimov
 特別科学顧問、でしょうか。
 ちょっと記憶違いがあったみたいですね、アシモフさん。