食料保存技術としての牧畜

 狩りで殺された動物に仔があれば、親の死体から離れずにいることもあるだろう。まだヒトを敵と見なして逃げたり攻撃したりすることもできない幼い仔であれば、ヒトに連れ帰られてヒトの子供の遊び相手にされる。もしかするとそんなことが家畜化のはじまりだったのかもしれない。そうした動物がヒトの群れのなかで増えはじめると、ヒトに馴れた動物の集団が生まれる。牧畜だ。
 家畜化すると家畜の群れは逃げない。これは大きい。追いかけて狩りをする必要がなくなる。生きた食料倉庫というわけだ。