先史時代の先端技術としての土器

 むかしの人は土器や陶磁器に驚異の念を感じていたんだろうなと思う。
 各地の神話で人間が土や泥から作られたということになっているのをみれば。

 脆くて、手に取っても指から滑り落ちるような土くれや泥んこ。それが、職人の手にかかれば、硬くて水も漏らさない定まった形のものに変化する。その過程で使う火もまばゆく輝く魔法じみた存在だっただろう。
 陶磁器はセラミックだ。火はプラズマだ。それらは自然界の超常現象を手の内で再現する偉大な化学技術だったわけだ。