古書店にて

 きょうは珍しく定時退社。まだ明るいので、会社の玄関前のJRの線路の向こうに見える古書店を覗いてみる気になりました。小さい、古びた店で、なかには他に誰もお客はいません。店の人もいないのかなと思ったら、奥におじいさんがじっと座って本を読んでらっしゃいました。ぐるっと眺めてみると、いろんな本があります。この前DVDで観た映画「パフューム」の原作「香水」の単行本もありました。サンリオSF文庫なども並んでいます。「SF百科事典」もありました。
 アシモフの未読本とかあったらいいなと思いながら見ていくと、昔の雑誌「SF宝石」がありました。Isaac Asimov's Science Fiction Magazine 特約誌で、小松左京によるインタビュー記事が掲載されています。写真もいくつか載っていました。それを掴んだまま、ほかにもなにかないかなと店内をひとまわりしてみましたが、ほかにはそんなに気を惹くものがありませんでした。
 手にした「SF宝石」を店のおじいさんに見せて「これはいくらになりますか?」と尋ねました。「これはね。...1500円。」私はちょっと黙りました。するとおじいさんは言いました。「どうだ?」「ちょおっと高いですねえ」と私は答えました。すると「じゃあ1000円。一応これは創刊号なんだが。」「創刊号だからほしいわけではなくてその中の記事に読みたいところがあるんですよ。1000円でいいですね?」「1000円だ。」「はい、1000円。ありがとうございました。」というわけで、その「SF宝石」創刊号を買いました。
 定価500円だった29年前(1979年)の雑誌です。帰ってから現在のSFマガジンの値段を検索したらほぼ1000円だったので、それを買ったと思えばそんなに割高感もありません。内容は、さすがに隔世の感がありますが、それなりに興味深くもあります。さっそく歩きながら読みはじめてしまいました。帰宅して夕食後にも少し読むと、読みたいところはほぼ読めてしまいました。
 SF小説誌ですが、小説は一編しか読んでいません(パトリシア・ナース「拝啓アイザックアシモフ様」)。特集や企画ものやあとは往年の広告を読んだだけです。そういう意味ではもったいないかもしれませんが、読みたかったのはアシモフ関連の記事だったので私としては満足です。