平成17年7月度修習技術者研修会/第244回先端複合技術研究会

 これもきのうのこと。
 午後から、修習技術者研修会というのが開催されるということだったので、参加。修習技術者研修会というものに出席するのは、はじめてだ。
 11時45分ころに家を出た。JR埼京線から恵比寿まで。恵比寿で東京メトロ日比谷線に乗り換え、神谷町で下車。そこからは歩いて数分。テレビ東京のビルのほぼ向かいにあるビルの5階にある社団法人日本技術士会の会議室が会場。
 エレベータに乗るときに、品よくお年を召したご婦人が乗ってこられたのでドアを開けて待った。品のよい感じの人だ。この方はあとで名刺をいただいたところ、Iさんという技術士(応用理学)の方だった。さる会社の副社長だそうだ。
 集まったのは50名ほどで、会議室はほぼいっぱい。時間通りの開会宣言の後、前半は、3つの講演からなる「7月度修習技術者研修会」。課題「行動原則」、講座名「技術者倫理と社会的責任」。講演題目は次の通り(敬称略)。
「技術者倫理の考え方」Tさん:技術士(化学・環境)。
「電力の供給責任と安全確保を使命に」Hさん:技術士(建設)。
「土木工事施工管理における技術者の役割と責任」Oさん:技術士(建設・総合技術管理)。

 Tさんは倫理(Ethics)についての概論。かなり高齢と見える方だが、アナウンサーかオペラ歌手のような、よく通る、とてもいい声。1時間のプレゼンテーションはわかりやすく興味深く、真似たいところがいくつもある素晴らしいプレゼンテーションだった。白地に黒文字で強調点を緑であしらったスライドはなかなかいい配色だと思った。

 Hさんは高圧電線の架線工事で安全性の向上に役立ったキーロック方式安全ロープのお話。NHKプロジェクトX〜挑戦者たち〜」でも取り上げられたそうだ。安全確保のためのルールと設備に対する現場作業員の心理的な抵抗に対して、納得づくの物理的強制が目に見える効果をもたらしたとの説明。ほかの人が質問していたが、「安全ロープ」をほかのものに置き換えてみれば他への幅広い応用がききそう。

 Oさんは土木工事の概要説明と現場での問題事例。後の懇親会の席では「氷山の一角」ではなく特殊事例だとおっしゃってはいたが、証明できないうちはむしろ氷山の一角と言い切るくらいのほうがいいのではないかと思った。自分で質問させていただいたが、このお話での土木工事の「一品生産」、「現場生産」、「受注生産」はソフトウェア開発とも非常に類似している。そうした性質から導かれるさまざまな問題事例とその原因の解説もまた、非常に興味深く、土木建築について学んでみたい気になった。

 食事後、解散の際には全員とはできなかったものの、大勢のみなさんと名刺の交換をさせていただいた。
 私が一昨年に技術士第一次試験を受験したときに試験監督としてお世話になった技術士(建設・総合技術管理)のKさんからも名刺を頂戴した。
 帰りは雨が激しく降っていたが、会の終了後、数人の方と会場の近くの喫茶店でしばらく話をした。電気電子部門、情報工学部門、金属部門の一次試験合格者の方々。Maさん(電気電子)は「楽修会」という社内サークルを立ち上げたり、自分のblogを楽しんだりしておられる。Miさん(機械工学)は社内の人間関係から技術士資格を取るかどうか悩みが深い。Hoさん(建設)は最近休みをとって映画館に行ったら貸切に近い状態でよかったとか。Naさん(情報工学)は自分でwikiを立ち上げているが、PHPをインストールしようと苦心されている。Kiさん(金属)は大学院生で、パソコンを使い始めてまだ間がないがメールはよく使っているそうだ。

 全般に、技術士資格そのものの認知度は建設関係を除けばまだかなり低いため、みなさんそれぞれにその事実と自分の受験に対する認知的不協和がありそうな感じを受けた。個人的には技術者倫理について、ある程度の知識や態度が備わっていることが公的な認定機関によって客観的に証明できれば満足できる。技術者としての技術的な知識やスキルについてはまた別の資格なりで証明できればそれでもよいし、細分化された専門的分野になれば、逆にそうするしかないのではないかとも思う。