アラビアのロレンス

 第一次世界大戦の時代。主人公のロレンスは、アレキサンダーアキレウスのようないわゆる勇猛果敢な英雄ではない。勢いづけばカッともなるが、むしろどこか弱い心の持ち主でもある。そんな彼が、時流に流され、担ぎ上げられて英雄になる。アラブの民衆のためと信じて闘う中で流血に喜びを見いだす自分を悲しみ、アラブに民主主義を確立しようとして挫折する。偉大な人物と称されながら、自信のない男。強そうで弱い、弱そうで強い、ロレンス。そんな複雑性が観るものを引っ張る。DVDで二枚組とかなり長いのに、飽きずに見続けられるのはさすが。ロングショットを多用した映像の美しさはなかなかの見ものです。