ココ・シャネル

ココ・シャネル [DVD]

ココ・シャネル [DVD]

 執念のデザイナー、ココ・シャネル。その指先にくゆるタバコの煙は彼女の目にどのくらいしみただろう。

 これもファッションブランド「シャネル」の創設者ココ・シャネルの伝記的映画です。俳優がしゃべるのは、英語です。フランス語でないのは、少し違和感がありました。
 シャネルの人生を引退後に復帰した年の失意の晩年からと、孤児となった少女時代からの二本の時間軸がからまるように交互に進みます。
 この映画では、ココ・シャネルはやはり姉とともに孤児院で育つのですが、厳しい住み込みの店でお針子として暮らしていると、たまたま誘われて行った酒場で歌手の振りをして舞台で歌ってみせ、そこにいた軍人に惚れられて恋に落ち、その富裕な男(それほどの年の差は感じさせない)に連れられて愛人となるが、結婚は拒否されて喧嘩し、そこで知り合った別の実業家と気があってその庇護のもとでパリに店を持ち、第一次世界大戦をはさんだ長い年月をその実業家との恋と仕事に生きるが、自ら結婚を先延ばしにしたことで別の女性との結婚を決意しかけていた実業家がやはりシャネルを忘れられず、会いに行こうとして自動車事故で死んでしまう。その失意のシャネルが創作した黒いドレスが大ヒットする。以後独身を貫いたシャネルは80を超えても仕事をやめず、引退して復帰した当時は失敗したが再び成功を収める・・・というような描かれ方です。映画によって、同じ人物の人生の描き方がずいぶん違うものですね。これも謎の多いシャネルならではのことなのでしょうか。この映画ではシャネルのデザインというものがより多彩に描かれていて、デザイナーとしてのシャネルや起業家としてのシャネルという部分が「ココ・アヴァン・シャネル」と比べると、よりよく描けていると思います。
 60歳から80歳頃のシャネルは貫禄と凄みのあるシャーリー・マクレーンのようですが、18歳頃から50歳頃までのシャネルはずっとバルボラ・ボブローヴァが演じているようで、(18歳にして目の下に皺が目立つシャネル、というのはやや疑問ではありましたが、まあ、ささいなことです。)その演じ分けは凄いと思いました。