「百万円と苦虫女」

百万円と苦虫女 [DVD]

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【ストーリーの核心までばらしてしまうあらすじ】(白い文字で書いてあります。)
 20歳すぎの高卒のおとなしい娘が拘置所から出るシーンから始まる。「342番」と番号で呼ばれたり、建物を出るときに「もう戻ってくるなよ」とステレオタイプな出所時の声掛けがあったり、建物が高い塀で囲まれていたりと、拘置所というより刑務所のような描写だったので違和感を持ったが、調べてみると刑が決まるまで拘禁される拘置所は、刑務所と同じ建物内にあることも多いらしい。罰金刑だけの刑事犯が名前でなく番号で呼ばれるかは疑問だけど。
 家を出てバイト先の同僚の女性とルームシェアしようと思ったら実は同僚の女性は恋人と3人でのルームシェアのつもりだった。さらに引っ越してみたらその二人は別れていた。同僚の元カレとのふたりでのルームシェアになってしまうが、拾った猫を勝手に捨てられる。雨の中でその子猫が死んでしまっているのを見つけると、同僚の元カレの荷物をごっそり捨ててしまう。ところがそれを刑事告訴されてしまって器物損壊で有罪になる。拘置所を出ると家にもいづらくて「百万円貯まったら家を出ていきます」宣言。そして海の家、桃を栽培する果樹農家、小さな町のホームセンターの園芸コーナーのアルバイトと、転々とする。一方、娘の弟は学校でいじめにあっている。海の家ではナンパ風の男にパーティーに誘われたりするが黙って次の町に移る。山の農家では村おこしの「桃娘」になってくれないかと言われるがマスコミ対応もあるということから「前科があるんです!」と叫んで断って村を出る。ホームセンターでは園芸に詳しい同年輩のやはりおとなしい性格の先輩アルバイトと話すうちに自分に前科があっても関係なく好きだと言われて恋仲になる。やがて金の無心に不信を持ち、別れることにする。娘の弟はいじめの相手に怪我をさせて児童相談所に連れていかれ、けがをさせた相手には詫びるが自分は悪くないと思うと姉に手紙を書く。娘は「勇気づけられた。姉ちゃんが言っても説得力ないと思うけど、悪くないと思うよ」と返事を書く。アルバイトもやめて町を出ることになると、青年は金は返す。しかしそれ以上は何も言わない。実は青年は百万円貯まったら町を出て行くと聞いたために出て行ってほしくない一心で金を借りていたのだった。「俺なにしてるんだろう。」ふっきれた青年は娘を追いかける。とちゅうドーナツを買い食いして道草を食っている娘を追い抜いて電車の改札口にたどりついた青年は娘の姿がないことに落胆する。諦めて帰ろうとする青年。ようやく駅に付いた娘。高架の上で町をふりかえって「来るはずないか」と呟く娘。娘に気付く青年。前を向いて明るい表情で改札に向かう娘。ここで唐突にエンドマーク。
 終わり方がいい。ステレオタイプなハッピーエンドを予感させつつ必ずしもそれを保証しない潔さ。
 それにしても娘が転々とする先に悪人がいない。娘はおとなしくてあまり笑顔も見せないが、みんなが好意を寄せてくる。いい人たちばかりなのはいいが、少し嘘っぽいかも。