「タッチ・オブ・スパイス」

タッチ・オブ・スパイス

タッチ・オブ・スパイス

  • アーティスト: サントラ,ディレク・コッツ,ナターシャ・テオドロリアドイ,タソス・ブルメティス,ヨルゴス・レボウツシカス,ソドロス・コテパノス,クリストス・チアムーリス,ヨルゴス・コントジアニス,ソクラテス・シノプーロス,パナヨティス・カランツォプーロス,パノス・ディミトラコプーロス
  • 出版社/メーカー: レントラックジャパン
  • 発売日: 2005/02/11
  • メディア: CD
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http://www.gaga.co.jp/cinema/spice/main.html
【ストーリーの核心までばらしてしまうあらすじ】(白い文字で書いてあります。)
 主人公ファニスは40代の天文学者。宇宙暗黒物質などの研究をしている。ある日、旧知の医師が訪ねてくる。祖父がこんどこそやってくるというのだ。しかし食事の用意をし、祖父の友人たちを招いたとき、電話が鳴る。祖父が倒れたという知らせだった。ファニスは祖父が運ばれた病院に向かう。
 ファニスは7歳くらいの少年の頃、コンスタンチノープルイスタンブール)に住んでいた。キプロス紛争の頃だ。そこには祖父のスパイスの店があり、ファニスはよく店の中に座って、祖父と客とのやりとりや、祖父との会話から、スパイスの使い方など、さまざまなことを学んだ。たとえば天文学の手ほどきすら、スパイスが主役だった。熱い太陽は胡椒。水星は…。金星はシナモン。地球は塩。ときどき客に連れられてくる子供とはいっしょに遊ぶように促された。トルコ人のムスタファはそのひとり。祖父はムスタファの将来の希望を尋ね、彼自身の希望とその父の希望が医者と軍人であることを聞くと、「軍医になるといい」と教えるのだった。主人公はあるとき、祖父の店に来る客のひとりの娘サイメと遊んでいるように言われる。ふたりはいっしょにままごとをして遊び、ファニスがおいしい肉団子の秘訣を教えるかわりにサイメにダンスを請う。やがてトルコはギリシャ人の強制退去を決定。ギリシャ国籍の父を持つファニスは家族共々コンスタンチノープルを追われる。「こんど会ったらまた料理してね。代わりに私は踊るから。」というサイメの言葉をファニスは忘れない。祖父からはいつかサイメといっしょにファニスに会いにいくと手紙がくる。しかし、祖父は来ない。サイメとの約束を忘れないファニスは、学校でも女生徒とのままごとばかり。教師から苦言を呈された両親はファニスに台所への出入りを禁じる。それでもファニスは料理への情熱を失わなず、ボーイスカウトに入れられても、売春宿に料理をする場を見つけたりする。何年も、何十年も、祖父は来ない。少女も来ない。そしてファニスは40代の天文学者となった。そしてついに祖父がやってくるという話を聞いたのだった。
 ファニスは病室で意識のない祖父に会い、声を掛ける。祖父の意識は戻らないが、右手が動く。ファニスはその手を握りしめる。祖父は亡くなる。コンスタンチノープルでの祖父の埋葬の場で、雨が降りはじめる。参列者たちが傘を開く。その中に赤い傘が一本。ファニスはその赤い傘の持ち主が初恋のサイメであることに気付く。声を掛ける。話をする。かつての少女はいま、結婚しており、娘がいる。夫は軍医になったムスタファ。しかし彼女は夫とは別居しているのだという。それを聞いて、ファニスはコンスタンチノープルにあるボスポラス大学からの招聘を受けることを申し出る。ファニスはサイメの娘の誕生日に料理とケーキを作る。その当日、娘の誕生日に駆けつけたムスタファと出会う。ファニスはある夜、ムスタファをサウナに呼び出す。「ここなら蒸された貝のように口が開いて本音で話せるから」と。ムスタファから「まだサイメのことが好きなのか」と聞かれるが、ファニスは答えない。「彼女は明日アンカラに戻ることを受け入れたよ」と告げられる。翌日ファニスは列車に向かうムスタファの家族を遠くから見送りにくる。ファニスは涙を浮かべて別れを告げるサイメに言う。「振り向くな。ホームで振り向くと再会の約束になってしまうから。」彼女は振り向かない。サイメの娘が振り向いて笑った。ファニスは祖父の店に入る。床にいくらかのスパイスがこぼれて残っている。主人公はそれで銀河系の模型を描き、スパイスでできた銀河を吹き飛ばす。部屋中がスパイスの宇宙になる。
* * *
 俳優たちの言葉がわからない。「何語だろう」と思った。「はい」を「ネエ」と言っている。そのうち場所を示す字幕が出てきた。それがギリシャ文字だった。「そうか、ギリシャ語なんだな」と思った。
 絵的にはわりと美しい。景色の多くが、やや不自然な色調で、少しのっぺりした感じだった。コンピュータ・グラフィックくさい。
 ちょっとフランス映画風。主人公も、他の登場人物も、あまり派手には動かない。叙情的であり、それゆえに内向的で、その結果少し辛気くさい。それが悪いわけではないし、ギリシャでは観客動員数もかなりあったらしい。