Meditation for Writers

"How To Enjoy Writing A Book of Aid and Comfort"*1に掲載されている "Meditation for Writers" はとくに作家でない者にとってもいい慰めになるのではないだろうか。(原文は英語だが和訳もつけてみる。)

                    Meditation for
                       Writers
                 (USEFUL IN PREVENTING
                  IDENTITY CRISES AND
                  EXISTENTIAL MALAISE)



I know  who I am.  I'm  a  member  of  the animal kingdom,
phylum chordata,  subphylum  vertebrata,  class  mammalia,
order primate -- closely related to chimpanzees and goril-
las, with whom we can now talk.
  I'm of the family Homididae,  genus homo,  species homo
sapiens sapiens. I'll try not to forget that we named our-
selves (doubly) sapiens, the most intelligent species.
Nobody else calls us that.
  And I know where I am -- on the third planet of a solar
system in the Milky Way galaxy in a huge universe. Intel-
ligent beings may be one of the ways this universe becomes
conscious of itself and able to create beauty and meaning.
  I am a living part of the universe but apart,because I'm
self-aware.  I share this aloneness with all human beings,
isolated within the three pounds of gray brain inside our
skulls.
  But we can communicate.
  And I will do the best I can.
                    執筆者のための瞑想
                 (自我の危機や存在の不安を
                  避けるのに有用)



私は私をわかっている。 私は動物界の一員で、脊索動物門で、
脊椎動物亜門で、哺乳綱で、チンパンジーとゴリラに近縁な
霊長目で、いまや互いに話ができる。
 私はヒト科に属し、ヒト属で、ホモ・サピエンス・サピエン
ス種だ。私は忘れまい。自分たちを(二重に)サピエンス、
もっとも知的な種と呼んだことを。他には誰も私たちをそうは
呼ばないことを。
 そして私は私がどこにいるかわかっている。--第三惑星で、
太陽系で、天の川銀河の中で、巨大な宇宙の中だ。知的存在は
この宇宙がそれ自体を意識する手段のひとつなのかもしれない。
美と意味を生み出せる手段の。
 私は宇宙の生きる一部だが分かれてもいる。なぜなら私は自
分の意識を持つからだ。私は頭蓋の中での三ポンド*2の灰色の
脳の中のこの孤立を全人類とわかちあう。
 それでも私たちはわかりあえる。
 だから私は最善をつくそう。

 脊索動物門(せきさくどうぶつもん)に属する生物は、神経繊維の束を取り巻く柔らかい防護膜(脊索)ないし硬い鎧(脊椎)を持っている。
 脊椎動物亜門(せきついどうぶつあもん)は脊索動物門の生物群から原索動物を除いたもので、神経の束をしっかり守る脊椎を持つものである。
 哺乳綱(ほにゅうこう)はいわゆる哺乳類である。カモノハシを除いてほぼすべての哺乳綱の生物が胎生つまり卵を産むよりも胎内で育ててから子供を産む。これでより確実に子孫が育つようになったことだろう。
 霊長目(れいちょうもく)は、五本の指のうち親指が他の指と向き合い、ものを握ることができる。大脳もよく発達している。シミュレーション機能が使えるようになったことだろう。最近ではサル目というほうが一般的らしい。英語の primate の語源からは霊長目のほうが近いが、1988年に当時の文部省(現在の文部化学省)が『学術用語集 動物学編』で、目以下の名称をすべてカナ書きにしたそうだ。このとき目名は「ネズミ目」「サル目」のように、それぞれの動物群を代表する動物名(カナ書き)に変えるという改定がなされたのだという。なぜなんだ。
 ヒト科は、しっぽのないサルだ。テナガザルやオランウータンは含まない。
 ヒト属には、チンパンジーやゴリラを含める研究者もいるそうだ。知能はかなり高いが、おしゃべりはしないようだ。
 ホモ・サピエンス・サピエンスは我々人類だ。言葉を交わしあう。ウソをつき、冗談をいう。想像力を駆使して物語に聞き入り、言葉を文字に起こし、宗教にも走れば、科学にも分け入る。

*1:Janet and Isaac Asimov, Cartoons by Sidney Harris "How To Enjoy Writing A Book pf Aid and Comfort" (Walker and Company, 1987)

*2:約1.36キログラム。1 pound = 0.45359237 kilogram