平坦な宇宙

 宇宙の曲率が正か負かゼロかという問題があり、実際の宇宙の曲率はゼロに非常に近いことがわかっているという。
 曲率が正というのは2次元曲面の場合なら球面のようにある方向にもそれとは別な方向にも同じ向きに反りかえるように曲がっている(たわんでいる)場合。負というのは二次元曲面の場合なら馬の鞍の表面のように、ある方向について反りかえっているが、別な方向には逆向きに反りかえっている場合。ゼロだとどっちにもたわんではいない。
 ほんとうにゼロなのかどうかは決着がついていないらしい。また、なぜそんなにゼロに近いのかもよくわかってはいないらしい。
 そうですか。
 ふむ。
 もしゼロになるはずだという必然性もないのにゼロに非常に近いということなら、もしかしたらゼロのまわりをふらついているのかもしれないな。宇宙の曲率をゼロにしようとするような、なんらかのフィードバック機構が働いているからゼロに近いのかも。
 宇宙の曲率が宇宙の将来を決める因子だとすると、その将来に意図的な変更を加えようとする知性が強引に工学的に宇宙の曲率を変えてしまおうとがんばっているのだというようなSFがあってもよさそうだ。誰かがそんなストーリーを書いているなら読んでみたいものだ。かなり昔のSFにありそうな気もするが、私は知らない。