ベテルギウス

 このごろ、夜空にオリオン座がよく見える。ほとんど星座の見分けはつかないが、オリオン座ならわかる。その他にわかるのは、北斗七星であるおおぐま座と、ほかにはカシオペア座くらい。
 そのオリオン座はギリシャ神話の勇者オリオンが棍棒をふりかざして立っている図だということだが、よほど想像をたくましくしないとそんなふうには見えない。私には、オリオン座はむしろ雅楽能楽で使う鼓のような形に思える。
 そのオリオンの右肩にあたる位置にある赤い星がベテルギウスという名前だということは、おとといオリオン座について調べてやっと知った。夜空で一番明るい恒星であるシリウスと、このベテルギウスプロキオンの3つの星を結んだ三角形は、冬の大三角形と呼ばれるそうだ。
 きょうの散歩の帰り道、オリオン座は横倒しになっていた。「オリオン座が見えるよ」と妻に声をかけた。ふりむいて夜空を仰ぐが、残念なことによく見えないという。オリオン座の腰帯にあたる3つ星が電柱から伸びる二本の電線の間にちょうどいっぱいに覗いていたのだが、それも。眼鏡をしていなかったからかもしれない。街灯が明るすぎたのもあったかもしれない。
 それにしても、車の通りの少ない道とは言え、立ち止まって空を仰ぎ、オリオン座が見えるの見えないのと言っている大人2人。とおりがかった人には珍しく映ったかもしれない。