DVD:映画「パッション」

 左の肋骨が見えるくらいに鞭打たれ、血まみれとなったナザレのイエスが、口からよだれを垂らし、ふらふらする足で重そうな十字架を担ぐ映画。
 「マリア」が薄いスープだとすると、こちらはとても濃厚で生臭いスープ。
 ワンカットだけのラストシーンで、傷のないきれいな姿で微笑みながら立ち上がるイエスの右手に、釘で打ち抜かれた大きな穴が開いているのを見たときは、なんかロボットぽくて怖い感じがした。
 ときどき出てくる眉毛のない怪しい男(?)は悪魔のようだが、じっと見つめるばかりでこれといって何もしない、実質的には無害な存在で、登場させる意味がわからない。