「2050年のわたしから」

 統計に基づく外挿による未来予測を、ある家族をモデルとして描いてみたという感じの本。SF、と呼ぶにはストーリー性がなさすぎるかもしれない。それでも、「人間がいっぱい」のようにディストピア・ストーリーにはなっている。また、主人公がかつての夢想を思い返すという形で、あり得たもうひとつの(より望ましい)未来もあわせて提示している。
 怖くもおもしろい本だった。個々人が政治的な意識を持たないと、せっかくの民主主義が空洞化する、という指摘はもっともらしい。