化学構造式が編み図に見える

 だいぶ前から「Asimov's New Guide to Sicence」を読んでいる。英語だし、分厚い本なので、なかなか読み終わらない。

Asimov's New Guide to Science

Asimov's New Guide to Science

 いま、その「分子 Molecule」の章を読んでいる。赤い色をしている血液中の赤血球の色はヘモグロビンの色で、その色素は中心に鉄の原子を含むヘムと呼ばれる分子で、ヘムはこんな構造をしている、ということでヘムの化学構造式が載っている。ヘムにはいくつかバリエーションがあるが、そのうちのヘムbと呼ばれる分子の化学構造式は、wikipediaによると、こんなふうになっている。
ヘムb(wikipedia:「ヘム」より)

 それを見ていると、妻の趣味のひとつである編み物の図にあった編み目記号のパターン(編み図)を思い出した。編み図というのは、たとえばこんな記号図。
編み図の例

 化学構造式の原子やその結合手をあらわす線を編み目記号に置き換えたら、どんな編み物が編みあがるだろう。できあがった編み物からもとの化学構造式が再現できるように、一対一の対応を崩さないで編み目記号に読み替えることは不可能ではなさそうだ。もしもやってみたら、どんな編み物ができるだろう。ヘムはそれほど大きな分子ではないので、できあがる編み物も小さなものになりそうだ。ケータイストラップ(昔風にいえば根付け)くらいのものだろうか。「これがヘモグロビンなのか」なんて思いながら眺めれば、飽きずに長いあいだ見つめてしまいそうだ。

 化学合成って、ナノ手芸なのかもしれない。

 妻に話すと、興味を示してくれた。じっと化学構造式を見つめて「なかなか難しいね」。私にはよくわからないが微妙な困難があるらしい。それでも「また考えてみる」とのこと。なかなか興味深くは感じてもらえたようで、ちょっとうれしい。