靴が壊れた

 合成皮革だと思う。高い靴ではない。でも履きやすかった。材質がやわらかく、履いていて圧迫感がなかった。ある程度は防水もかかっていたので雨の日にも履けた。真っ黒だが、ソフトな形態で、通勤にかぎらず外出時にはよく履いていた。最近では雨の日には靴の中まで湿ってくることがあったけれども。
 その靴の左のほう。正面の甲の部分に装飾のベルトが渡してあり、四角い留め金がついている。その銀色の留め金を靴に引き止めていたゴムとナイロン様のプラスチック繊維でできた弾力性のある幅広の帯がちぎれてしまった。信じがたい事実だった。いままで古くなっても靴底がすり減ってしまったりするために新しい靴に買い替えることはあったが、ちぎれるなんて初めてだ。おどろいた。
 そのおかげで、左足はぶかぶか。走ると脱げてしまいそうで、サンダルをひっかけているようだった。なにもけがをしたわけではないのだが、歩き方も心なしか左をひきずるようになっていたかもしれない。かっこよくはない。ぜんぜん。右の靴も見てみたが、おなじようにちぎれかけている。なんてことだ。
 家には同じ靴がもう一足あるが、ひょっとしたらそっちも同じように危ないかもしれない。
 今度の休みには靴を買いに出かけたほうがいいかもしれないな。