(人差し指)

 携帯電話はezwebを使っている。
 ezwebの携帯電話では絵文字として人差し指の絵が使えるようになっている。
 私は妻とのやりとりにそれをときどき使う。「ほらね」とか「これだよ」というような意味を示す符丁としてだ。妻も私と同じ機種のezwebの携帯電話を使っているのである。

 きょう父へのプレゼントが届いたことで、両親からメールをもらったのでそれに返信した。そこには最近私が帯状疱疹にかかったがもうほぼ治ったということを書いた。そのとき人差し指の絵文字を使った。そうしたら、人差し指に帯状疱疹ができたのかとメールの返信が届いた。
 「ちがう」と返信したところ、後で母から電話がかかってきた。

 「あなた、自分がどんなメールを送ったか見直したの?」と強い口調で問いつめてきた。何事かと思ったが「見直してはいないよ」と答えた。
 「読んであげる」と母は頼みもしないのに読みだした。
 「『ありがとう かぜひいてるとおもうけどなおりかけ かっこ ひとさしゆび かっことじる たいじょうほうしんになってたけどほぼなおった かっこ ひとさしゆび かっことじる』」
 私は笑い出した。
 「ああ、そんなふうに届いたのか!」

 人差し指の絵文字は絵としては届かず、その代わりに「(人差し指)」として表示されるわけだ。
 それで、母はてっきり人差し指に帯状疱疹ができたと思い込み、それをにべもなく否定した私に(まあ、ちょっとは)腹を立てたということだったのだろう。

 母はdocomoの携帯電話を使っている。絵文字は基本的には互換性がないことになっているが、ある程度の絵文字はほぼ同等の絵文字だったりもするのであまり気にかけていなかったのだが、そうか、こんな誤解も起きるんだなと興味深く感じた次第。