伏見稲荷大社

 お正月前に伏見稲荷に参詣した。参詣というよりは、見学に行ったというほうが正確だ。なんとなく千鳥居が見たくなったので行ってみたのである。木製の鳥居は、ところどころ根元が崩れて取り替え中の箇所があったりした。
























 帰省していた弟に話すと、鳥居を献じるなら石製のほうがいいなあとのこと。石製の鳥居は赤くないのだが、どうせなら永く残したいらしい。朱塗りの鳥居のほうが美しいが、はかない。しかしはかないものはそのかわりに世代交替や新陳代謝で生鮮さを保つ。そして交替とともにおそらくは徐々に変容していく。
 はかない美しさととこしえの堅実さ。どちらがいいとは一概には言い切れない。どちらに価値を見いだすこともできるだろう。だが、いま現在の私の個人的な気持ちとしては、ただ長くあり続けるよりも、たとえ一瞬でも美しく映えるほうにより素晴らしさを感じるようだ。